EUに自動車認証に対してのチェック権限が与えられる

EUの自動車認証制度が変更されることになりそうである。大きな変更点は、EUが各国の認証機関を監査することと、EUが反則金を徴収できることである。この改正の主眼は、『EU加盟国の一国が与えた認証を他の加盟国が取り消すことを実現する。』と『排気ガス規制の抜け道を用いて窒素酸化物を規制値の十数倍出している状況をただす。』である。<Automotive News Europe

記事の概要

欧州連合は新しい自動車認証方法に関しての規則が成立することになる。

新しい規則では、

EUが欧州全体へのリコールを開始できる。

規則違反があった場合は最大3万ユーロ/台の反則金をかせる。

法案は、EUが各国の規制当局の監査を行うのを許可する。
各国の認証機関は、車両タイプの認証と最小限の路上での排出ガス試験を実施する。

Defeat Deviceへの対応として、自動車メーカーに自動車のソフトウェアプロトコルへのアクセスを提供することを要求する。

となっている。

なお、ドイツとイタリアはこの規則に反対票を投じている。

EU本部のElzbieta Bienkowska委員長は、

実際のEU監督と執行権限を含む、我々の提案の重要な要素が支持された。

一部の自動車メーカーは不正行為を行っており、他の多くの企業は抜け道を利用していたことを知っている。

欧州各国の監督を強化することは、存在するかもしれない利益相反を排除する助けとなるはずだ。

と述べている。

この規制は、欧州議会や加盟国から法律化するための承認が必要です。

その後2020年9月1日に義務化される予定です。

考察

2015年から話し合われてきたEUの認証システムの変更にけりが付きそうである。

今回の改正の主眼は、

EU加盟国の一国が与えた認証を他の加盟国が取り消すことを実現する。
(現状では、国の一国が認証すればEU全体に適用される。)

排気ガス規制の抜け道を用いて窒素酸化物を規制値の十数倍出している状況をただす。

である。

この二点において、初期の草案よりも多少後退した感はあるが、現状の認証よりもEUの権限が大幅に強くなっているといえる。

この問題に対して、当初は自動車生産国の多くが反対の意を表していたが、最終的にドイツとイタリアのみの反対までに調整を実施して、実現にこぎつけた感じである。

フォルクスワーゲンの排気ガス不正時にリコール命令を出せるのがドイツのKBAのみであったことに、他国(特にフランス)は不満を持っていた。

改正後は、このような問題が発生した場合に、EUが監査できるうえに反則金も徴収できるようになる。

ただし、ディーゼルエンジンで一世を風靡していたドイツとイタリアは、EUに権限が集中することに反対の意を表している。

これが、Elzbieta Bienkowska委員長の言う『利益相反』である。

自国の自動車産業を保護するために、公正であるべき認証機関が自国の自動車メーカーに甘くなることを『利益相反』と呼んでいるのである。

はっきりは言っていないが、ドイツとイタリアが規制に反対したことに対して『利益相反があるかもしてない』と暗に非難しているのである。

当初は2017年のスタートを目指していたものであるが、自国の自動車産業の継続や雇用の問題も関連してくるので、各国の調整に時間がかかって遅れてしまっている。

ただし、これは欧州だけの問題ではなく、UN ECEでの規格統合を考えている日本にとっても影響が出てくる問題である。

中野技術士事務所

FCAはヒュンダイとの技術提携について交渉中

フィアット・クライスラー・オートモービルズはヒュンダイ自動車との技術提携に関して話し合っていることを明らかにした。この話し合いには合弁事業は含まれていないとされている。電気自動車が欲しいFCAとしては、最適のパートナーとなりえる提携である。<Automotive News Europe

記事の概要

フィアット・クライスラー・オートモービルズ(Fiat Chrysler Automobiles:FCA)はヒュンダイ(現代)自動車との技術提携に関して話し合っていることを明らかにした。

FCAのCEOであるSergio Marchionne氏は、

ヒュンダイ自動車と技術提携について話し合っているが、両者の合併協議はないし、合弁につながるものであるとは考えていない。

ヒュンダイからの部品はすでに購入しているが、他の点、特に変速機や水素の開発に興味を持っている。

と語っている。

記事では、Sergio Marchionne氏が合弁先として、長城汽車やヒュンダイ自動車に関心を持っていると報じられてきたことを伝えている。

また、分社化についても話しており、

分社化完了:

Magneti Marell:ライティング、エンジン、エレクトロニクス、サスペンション、排気ガスの部品を製造

Comau:工知能やロボット工学

来年中に分社化予定:

CNH Industrial:産業機械や商用車の製造・販売

フェラーリ:高級スポーツカーメーカー

分社化未定:

Alfa Romeo

としている。

また、ディーゼル排出ガスに対する罰金については、最近のフランス当局の主張に法的根拠はないと語っている。

考察

FCAとヒュンダイが技術協力を行うことはFCA側にとって重要なことである。

新技術に予算が取れないFCAにとって、電気自動車や燃料電池車両の技術を導入できることは利益になる。

フォルクスワーゲンの排気ガス不正以降言われていたことであるが、ディーゼルと電気自動車の両方に開発費を分配できない中小自動車メーカーにとって、他社が開発した技術を導入できることは大変助かることである。

電気自動車に向かって進んでいる現状を考えれば、技術提携相手としてヒュンダイの重要性は高いといえる。

また、ヒュンダイを経由して韓国の自動車部品メーカーからの調達も進むこととなり、FCAが問題としていた部品調達のコスト低減に役立つといえる。

ヒュンダイにとっても、開発費をかけた電気自動車や燃料電池車両の技術を他社に提供することにより、開発費の回収が図られることになる。

ある意味で、適した組み合わせであるといえる。

また、Sergio Marchionne氏は最近のフランス政府のディーゼル排気ガス問題に関しての対応に不服があるようである。

この根底には、FCAは決められたルールを守っていたのに、ルールを変更して訴えるのは不当であるとの考え方があるのであろう。

実際に、当時のルールにFCAの車両は適合しており、ルール違反にはなっていない。

問題は、ルールに規定されていない領域で、意図的に排出していたのか否かである。

これは倫理的な問題となる。

意図的に排出していたのであれば倫理的に問題が発生する。

最終的には、ある程度のところで落ち着くことなると思われる。

中野技術士事務所

Hereが無線によるソフトウェア更新の会社を買収予定

HEREは無線によるソフトウェア更新プログラムを提供するドイツの企業であるAdvanced Telematic Systems(ATS)を買収する予定であることを公表した。契約の内容は2018年の初めに公開される予定である。自動運転に関してドイツの自動車メーカーは着実にエコシステムを構築しており、日本は負けそうである。<Automotive News Europe

記事の概要

HEREは無線によるソフトウェア更新プログラムを提供するドイツの企業であるAdvanced Telematic Systems(ATS)を買収する予定である。

契約の内容は2018年の初めに公開される予定である。

HEREは、「ATSの買収は、当社がプレミアム自動車クラウドプロバイダーとして当社のポートフォリオを補完するために非常に重要な戦略的投資である」と語った。

Advanced Telematic Systemsは、すでにOTA(Over-the-Air)でソフトウェア更新を行っているTeslaに対抗する会社である。

考察

HEREコンソーシアムのスタートの初期に、HEREに出資しているダイムラー、アウディ、BMWの各社は通信のセキュリティに関してもコンソーシアムの課題の一つであると述べていた。

その答えが、Advanced Telematic Systemsの買収となったということである。

HEREは自動運転に必要な地図の作成のみならず、自動運転に必要な技術全般を扱う会社である。

ただし、それは基盤にかかわることのみであり、上位層になる部分に関しては各社が競争するエリアとしている。

HEREで取り決めたことが、ISOやUN ECEなどで自動運転の規格として提案されることは間違いない。

ある意味で、HEREは自動運転の規格を作成している会社といえなくもない。

このように自動運転に対して着実にエコシステムを構築しているドイツ企業に対して、日本ではなかなかこのような動きになってきていない。

このままでいくと、自動運転の規格はHEREにもっていかれそうである。

中野技術士事務所

03/12/2017 | カテゴリー : 自動車 | タグ : | 投稿者 : 所長

バッテリー駆動車両の増加による電池材料の確保問題

ドイツ産業連盟は電池材料の枯渇と、それに伴う電気自動車に向かって進んでいるドイツの自動車産業の将来に対して警鐘を鳴らした。しかしながら、電池に使っている材料は自然界にそこそこ存在する原料であるので、鉱山の開発が進まないために資源が高騰することはあるが、中期的にみて大きな問題にならないと考える。<Automotive News Europe

記事の概要

ドイツ産業連盟(BDI)の安全保障と材料の責任者であるMatthias Wachter氏は、新聞のインタビューに答えて、

原材料供給のボトルネックになるリスクは増加している。

コバルト、グラファイト、リチウム、マンガンなどの供給が十分でなければ、ドイツでは未来の技術は存在しないだろう。

これらの材料の需要は、世界中の各国政府が大気汚染対策を強化することにより、自動車メーカーがEVを採用するのを急ぐにつれて急増する。

と、電気自動車化を進めるドイツの自動車メーカーに警鐘を鳴らした。

記事ではドイツの自動車メーカーの電動化に伴う動きを、

フォルクスワーゲン(VW):

2022年までにバッテリー駆動車に340億ユーロを投資する予定

長期的な供給契約を確保して重大な不足を避けることを目指す

メルセデス・ベンツ(ダイムラー):

2022年までに販売するすべてのモデルに電気バージョンを提供する予定

BMW:

2025年までに12の完全電気モデルで量産を達成することを目指す

と記載している。

考察

電池の原材料の資源獲得の問題提議である。

確かに、短期的(10年レベル)には資源獲得競争が起きるかもしれない。

再利用は、考え方はエコであるが、価格的に難しい問題である。

当然のこととして、価格が高騰すれば再利用が促進されるが、価格が低迷すれば再利用は赤字になるので行われない。

多分、価格の釣り合いが取れた状況になるまで、リサイクルは厳しい状況となる。

電池に使っている材料は自然界にそこそこ存在する原料であるので、鉱山の開発が進まないために資源が高騰することはあるが、中期的にみて大きな問題にならないと考える。

中野技術士事務所