FCAはヒュンダイとの技術提携について交渉中

フィアット・クライスラー・オートモービルズはヒュンダイ自動車との技術提携に関して話し合っていることを明らかにした。この話し合いには合弁事業は含まれていないとされている。電気自動車が欲しいFCAとしては、最適のパートナーとなりえる提携である。<Automotive News Europe

記事の概要

フィアット・クライスラー・オートモービルズ(Fiat Chrysler Automobiles:FCA)はヒュンダイ(現代)自動車との技術提携に関して話し合っていることを明らかにした。

FCAのCEOであるSergio Marchionne氏は、

ヒュンダイ自動車と技術提携について話し合っているが、両者の合併協議はないし、合弁につながるものであるとは考えていない。

ヒュンダイからの部品はすでに購入しているが、他の点、特に変速機や水素の開発に興味を持っている。

と語っている。

記事では、Sergio Marchionne氏が合弁先として、長城汽車やヒュンダイ自動車に関心を持っていると報じられてきたことを伝えている。

また、分社化についても話しており、

分社化完了:

Magneti Marell:ライティング、エンジン、エレクトロニクス、サスペンション、排気ガスの部品を製造

Comau:工知能やロボット工学

来年中に分社化予定:

CNH Industrial:産業機械や商用車の製造・販売

フェラーリ:高級スポーツカーメーカー

分社化未定:

Alfa Romeo

としている。

また、ディーゼル排出ガスに対する罰金については、最近のフランス当局の主張に法的根拠はないと語っている。

考察

FCAとヒュンダイが技術協力を行うことはFCA側にとって重要なことである。

新技術に予算が取れないFCAにとって、電気自動車や燃料電池車両の技術を導入できることは利益になる。

フォルクスワーゲンの排気ガス不正以降言われていたことであるが、ディーゼルと電気自動車の両方に開発費を分配できない中小自動車メーカーにとって、他社が開発した技術を導入できることは大変助かることである。

電気自動車に向かって進んでいる現状を考えれば、技術提携相手としてヒュンダイの重要性は高いといえる。

また、ヒュンダイを経由して韓国の自動車部品メーカーからの調達も進むこととなり、FCAが問題としていた部品調達のコスト低減に役立つといえる。

ヒュンダイにとっても、開発費をかけた電気自動車や燃料電池車両の技術を他社に提供することにより、開発費の回収が図られることになる。

ある意味で、適した組み合わせであるといえる。

また、Sergio Marchionne氏は最近のフランス政府のディーゼル排気ガス問題に関しての対応に不服があるようである。

この根底には、FCAは決められたルールを守っていたのに、ルールを変更して訴えるのは不当であるとの考え方があるのであろう。

実際に、当時のルールにFCAの車両は適合しており、ルール違反にはなっていない。

問題は、ルールに規定されていない領域で、意図的に排出していたのか否かである。

これは倫理的な問題となる。

意図的に排出していたのであれば倫理的に問題が発生する。

最終的には、ある程度のところで落ち着くことなると思われる。

中野技術士事務所

NHTSAは現代自動車のリコールに対して調査を正式に開始

NHTSAは現代自動車のエンジンリコールが適切に実施されたかについて正式に調査を開始した。適切にリコールが実施されていないとした場合には、現代自動車および起亜自動車に罰金が科せられることになる。これは内部告発による調査である。 <2017年5月20日Automotive news

記事の概要

NHTSA(米国道路交通安全局)は現代自動車と起亜自動車に対して正式に調査を開始した。

調査内容は以下のとおりである。

対象:米国で3回実施された現代自動車のエンジンリコールが、適切な時期に適切な範囲で実施されていたのか?

いきさつは、以下のとおりである。

  • 2015年に米国で4万7,000台のHyundai Sonataのエンジンリコールを現代自動車が実施。 対象は、Theta IIエンジンである。
  • 2016年8月に、現代自動車のエンジニアであるKim Gwang-ho氏が、NHTSAに対して社内報告書を引用してリコール台数が少ないことを告発。
  • 2016年11月に、Kim Gwang-ho氏が営業秘密を漏らしたとして、現代自動車は彼を解雇したが、韓国政府の裁定により復職。
  • 2017年3月31日に、現代自動車は572,000台のSonataとSanta Fe Sportの、起亜自動車は618,160台のOptima・Sorento・Sportageのリコールを実施。
  • 2017年4月にKim Gwang-ho氏はローターに対して、「NHTSAに対して、エンジン欠陥と9件の不具合に関する250ページの社内文書を提出した。」と述べた。
  • NHTSAはロイターに対して適切な処置を行うことを明言。
  • 2017年5月12日に現代自動車と起亜自動車は、Kim Gwang-ho氏が指摘した不具合のうちの5件について韓国国内でリコールを実施。
  • 2017年5月16日にKim Gwang-ho氏は現代自動車を退社。
  • 2017年5月20日にNHTSAは正式に調査を開始することを宣言。

当初の現代自動車のリコール原因は、「製造における不具合」としていたが、Kim Gwang-ho氏は「設計と製造の不具合」であると主張している。

考察

この問題が設計の問題であるとすると、現代自動車はリコールの範囲を小さくするために嘘をついてリコールを実施していたことになる。

つまり、他の車両に不具合があることを知ったうえで、問題となっている車両のみをリコールしたことになる。

これは大きな問題である。

これが、不具合の理由に関して考え違いをしていて一部しかリコールしなかったのであれば問題はないのであるが、不具合があることを知ったうえでリコールを隠していたことになると大きな問題である。

これは、GMのイグニッションスイッチのリコールとタカタのエアバッグのリコールと同じ性質のものとみなされることになる。

この行為は、より高級なブランドになろうとしている現代自動車にとっては大きな問題となる。

当然のこととして、これが事実であれば数億ドルレベルの損失が発生することとなる。

また。ブランドイメージも大きく損なわれることになる。

同様な大型リコールとして、トヨタのブレーキとアクセルのリコールがあるが、これとは異なるものである。

トヨタは、主に考慮不足と説明責任の不徹底が問題となったのであるが、タカタやGMも当初はトヨタと同じであったかもしれないが、最終的にその情報を隠したことが大きな問題になったのである。

この差は大きいといえる。

簡単に言うと意図的であるか否かである。

意図的であるということは、だまそうとしているという意味であり、倫理的に絶対に許されない行為であり、ユーザーの人権を踏みにじるものである。

GMはこの問題が解決する前に倒産しており、幸か不幸かこの問題で倒産することはなかったが、タカタは青息吐息の状況である。

悪意があると推定された場合には、市場から締め出される可能性すらある問題である。

あと、現代自動車の状況を悪くしていることは、Kim Gwang-ho氏を首にしたことである。

内部告発者を首にしておいて、告発している9件のうちの5件についてリコールしているので、内部告発を握りつぶそうとしたと勘繰られても致し方ない状況である。

この点でも、現代自動車のイメージを悪化させているといえる。

この問題の対応を誤ると、タカタと同様な結果に至る可能性があるので、慎重な対応が必要であるといえる。

現代自動車もタカタと同じようなオーナー企業であるので、ボードメンバーの対応次第では大きな問題に発展する可能性がある。

早期に、必要なものはすべてリコールして、リコールが不要と考えているものについては詳細な説明を実施することが必要であろう。

社内で責任云々といって時間が経っていくことが一番怖いことである。

ただし、リコールといってもエンジンのシャフトにかかわる問題であるので、費用がばかにならないものになると思われる。

中野技術士事務所

ヒュンダイの新しいパワートレイン制御

ヒュンダイは『controlled aggression』という新しいパワートレイン制御システムを発表した。これは、ESC・エンジン・ミッションの統合制御により燃費と性能を両立させるシステムであるとしている。  <2016年8月13日Aaronmacias Car>

記事の概要

ヒュンダイ(Hyundai)は『controlled aggression』(aggressionは侵略もしくは攻撃)と呼ばれる新しいパワートレイン制御システムを発表した。

Technical Center of Hyundai-Kia Americaのパワートレインのチーフによると以下の通りである。

  • 駐車時・悪天候時・アイスバーン走行などの状況に対応するために『controlled aggression』を開発
  • Hyundaiの品質と乗り心地の向上に効果有
  • パフォーマンスとリファインが重点項目
  • 低速や滑りやすい路面での安定性制御と高速道路に合流などを行う際の加速性能を両立
  • 様々な方法を用いて上記の性能を実現している。
    一つは速度に合わせたスロットル制御
    もう一つは多段化されたトランスミッション
  • 多段化したトランスミッションとして6速オートマチックトランスミッションと7速デュアルクラッチトランスミッションを導入
    ➡騒音・振動・ハーシュネス(耳障りな音)を低減するためにエンジン回転数の低回転化を実現
  • 加速時には、段階的にギアを変化させるのではなく、状況に応じてギア比を選択することを実現
  • 燃費と性能の両立を実現

考察

これは、ESC(横滑り防止装置:ヒュンダイの場合はESPと表記)とエンジンコントロールおよびミッションコントロールの統合制御のことを言っていると思われる。

これらの制御技術と制御技術が適用可能なブレーキ・エンジン・ミッションの採用で上記の要求を実現していると推定される。

目指すところは車両の統合制御である。

たぶん、統合制御を行っているのはESC関連で行っていると推定されるが、それに合わせたエンジン制御とミッション制御(これらの制御が一体化している場合もある)があってこその技術である。

また、エンジンの回転数を低回転化するということであるので、エンジントルクカーブがフラットなエンジンを用いることになると思われる。

目指している技術としては多くの自動車メーカーが目指している方向性と合致するが、Hyundaiが安い自動車からの脱皮を目指した開発の一環にあるものと思われる。

中野技術士事務所

Hyundai-KiaとMojo Mobilityがワイヤレス充電システムでDOEの助成金獲得

Hyundai-KiaとMojo Mobilityが無線での急速充電でDOEの予算を獲得した。 <2015年7月10日Automotive News

概要

Hyundai-Kia(ヒュンダイ-起亜自動車)の米国の研究所であるHATCI(Hyundai-Kia American Technical Center Inc.)が、ワイヤレス電力技術のMojo Mobility Inc.(モジョモビリティ)と共同で、EVのワイヤレス充電に関してDOEの助成金を獲得した。

助成金は600万ドルで、2015年型Kia Soul EV(起亜ソウルEV)で試験が実施されます。

当初は伝送効率が85%で10kWを充電できるシステムを作成して、試験を行うとしている。将来的には、伝送効率が92%のコンパクトな充電設備を作るとしている。

実用化の時期については明らかにしていない。

他社の動向

ワイヤレス充電システムは、他社でも研究が進められている。

トヨタやVolkswagen(VW:フォルクスワーゲン)やFord(フォード)やChevrolet(シボレー[GM])Mercedes-Benz(メルセデスベンツ)では、ワイヤレス充電システムを搭載したり、搭載の計画を公表したりして進めている。

この技術は、EVのみでなくPHEVの充電にも応用が可能である。

この方式には効率の問題があったが、近年は効率が上がってきている。しかしながら、コイルを用いるために、大電力を伝達するとなると重量が問題となる。このために、小型の車両に用いるほど重量に占めるコイルの重さが大きくなるために不利となりえる。

また、充電を制御するプロトコルも統一化されていないために、他のタイプのワイヤレス充電では充電できない問題がある。

中野技術士事務所