Hereが無線によるソフトウェア更新の会社を買収予定

HEREは無線によるソフトウェア更新プログラムを提供するドイツの企業であるAdvanced Telematic Systems(ATS)を買収する予定であることを公表した。契約の内容は2018年の初めに公開される予定である。自動運転に関してドイツの自動車メーカーは着実にエコシステムを構築しており、日本は負けそうである。<Automotive News Europe

記事の概要

HEREは無線によるソフトウェア更新プログラムを提供するドイツの企業であるAdvanced Telematic Systems(ATS)を買収する予定である。

契約の内容は2018年の初めに公開される予定である。

HEREは、「ATSの買収は、当社がプレミアム自動車クラウドプロバイダーとして当社のポートフォリオを補完するために非常に重要な戦略的投資である」と語った。

Advanced Telematic Systemsは、すでにOTA(Over-the-Air)でソフトウェア更新を行っているTeslaに対抗する会社である。

考察

HEREコンソーシアムのスタートの初期に、HEREに出資しているダイムラー、アウディ、BMWの各社は通信のセキュリティに関してもコンソーシアムの課題の一つであると述べていた。

その答えが、Advanced Telematic Systemsの買収となったということである。

HEREは自動運転に必要な地図の作成のみならず、自動運転に必要な技術全般を扱う会社である。

ただし、それは基盤にかかわることのみであり、上位層になる部分に関しては各社が競争するエリアとしている。

HEREで取り決めたことが、ISOやUN ECEなどで自動運転の規格として提案されることは間違いない。

ある意味で、HEREは自動運転の規格を作成している会社といえなくもない。

このように自動運転に対して着実にエコシステムを構築しているドイツ企業に対して、日本ではなかなかこのような動きになってきていない。

このままでいくと、自動運転の規格はHEREにもっていかれそうである。

中野技術士事務所

03/12/2017 | カテゴリー : 自動車 | タグ : | 投稿者 : 所長

DelphiはBMW・Intel・Mobileyeと共同して自動運転技術を開発していく

DelphiはBMW・Intel・Mobileyeのグループに新しいパートナーとして加盟することを発表しました。2021年までに自動運転車両の開発を目指すとしています。 <2017年5月16日Automotive news

記事の概要

Delphi(デルファイ)はBMW・Intel・Mobileyeのグループに新しいパートナーとして加盟し、高度な自動運転の開発のパートナーとして参加することを発表しました。

ここでは、2021年に自動運転車両を投入することを目標としています。

BMWの製品開発担当重役のRichard Rau 氏は、「より多くの自動車メーカーが積極的にグループに参加することについて話し合っている。」と語っている。

また、BMWの取締役のKlaus Fröhlich氏は、「当初から、将来のこの技術のための非独占的なプラットフォームでの協力を設計してきた。ここにDelphiが参加することにより、自動運転の開発が大幅に強化され、業界全体にこの技術を普及させるための未来の一歩を踏み出しました。」と述べている。

DelphiのCTOであるGlen DeVos氏は以下のように述べている。

  • このパートナーシップは理にかなっている。
  • 自動運転システムがどれほど複雑であるかを認識しており、車両が制御されている自動運転について話しているときは、そのプラットフォームのチェーン内のすべてのリンクで最も堅牢で最高の技術を持っていなければなりません。
  • すべてを自力でやろうとしている企業や、非常に閉鎖されたシステムでは、本当に苦労するだろう。

Delphiは、エンジン技術を別会社に分離して、電気自動車と自動運転を中心に行うと、最近表明している。

また、IntelはマッピングコンソーシアムであるHEREの株式を15%取得している。

MobileyeはBMWに独自のマッピングシステムを採用されている。

考察

ドイツの自動車メーカーが進める自動運転システム共同開発が広がっている。

HEREのコンソーシアムが設立された時にも思ったが、自動運転の規格はBMW・Daimler・Audi(VW)に抑えられことになると思われる。

地図のレイヤーの規格だけでなく、クラウド搭載機能と車両搭載機能の分割や、クラウドのプラットフォームの規格等が抑えられていくであろう。

この流れは、AUTOSARから続いているものである。

IoTの一つである自動運転においては、VFB(バーチャル・ファンクション・バス)の考え方重要である。

このVBFについての規格をAUTOSARが作って普及させているので、AUTOSARから離れて自動運転を考えることはできない状況である。

Delphiが言っているように、自動運転システムはクラウドが中心となるシステムであるので、自動車メーカーが単独で開発を行うことに無理があるものである。

記事にあるグループは閉鎖的なものではないとしているが、開発の中心にいる企業はそれなりのアドバンテージを得られるものである。

独自な自動運転システムが現在多く生まれているが、それらは淘汰されて、このような共同開発によってできたシステムに収斂していくことであろう。

この分野には、エコシステムの考えが必要である。

中野技術士事務所

ドイツは自動運転と電気自動車で自動車産業をサポート

ドイツのメルケル首相は、自動運転を推進するために自動車メーカーに対してウィッシュリストを策定を求めた。また、議員の一人は電気自動車に対する支援が実現可能であると語った。  <2016年4月12日Automotive News

記事の概要

ドイツのメルケル首相は、ベルリンで理想的なタイミングで自動運転車両を開発するために、業界が政府に対して要望する項目のリストの策定を求めた。

ドイツ与党は、月末までに要望がまとめられた場合には、それをもとに政府は自動運転車両を路上で試験するための法的な整備を実現していくと述べている。

この件に関しては、競争ではなく共同して実現していくことであるとしています。

また、与党議員の一人はドイツの財務大臣を電気自動車に対する支援で納得させられるとの見通しを明らかににした。

これによって電気自動車に対するインセンティブが出されることになると、記事では伝えている。

考察

ドイツはVWのスキャンダル以降、自国の自動車産業を保護する政策を進めている。

まず、電気自動車の推進策であるが、VWスキャンダルによってディーゼルエンジンによる自動車産業の成長に陰りが出てきてしまっている。

これを打開するために、日本や米国が進んでいる電動化に大きくシフトしていく必要性に迫られている。

このために、電気自動車に対してインセンティブを出すことが必要となり、与党で議論されていた。

このインセンティブに関しては、「購入時に支援するのか?」若しくは「維持費を支援するのか?」などの直接的なインセンティブに用いる方法と充電ステーションを充実するためにその資金を用いる方法で議論が進められていた。

自動車産業は両方の支援を望んでいたが、難民問題もあり、財政上の問題で財務大臣が渋っていた状況である。

この記事が伝えるとおりであるとすると、インセンティブの支給が実現しそうである。

自動運転に関しては、記事に記載されているように発言に際してDaimler(ダイムラー)のCEOのDieter Zetsche氏が会場に同席していることと、メルケル首相が「協業」であることを強調している点が、重要な項目である。

ドイツが自動運転を推進を支援していくことは他の国がそうであるように自明のことであるが、ドイツはこの分野において自動車メーカーの協業を推進していうとしている。

つまるところ、Audi(アウディ)とDaimlerとBMWが協力して設立しているHEREコンソーシアムに対する支援を進めていくという意味にとらえることが可能である。

BoschもHEREに出資する可能性が出てきている。

HEREはNokia(ノキア)の電子地図部門であったが、Audi・Daimler(契約上はMercedes)・BMWによって買収されたものである。

現状で、HEREに関してはコンソーシアムを形成して、他社からの参入を促して、自動運転の標準を地図のフォーマットのみではなく通信方法なども含めて構築しようとしている。

HEREとしては、GMなど世界の自動車メーカーを集結させて標準化を推進したいというのが考え方である。

日本では明らかにしている範囲内では、パイオニアがHEREとの提携を明らかにしており、Amazonが提携すると記事も出ている。

ドイツとしては、HEREを梃にして、自動運転技術でリードを図りたい考えであると思われる。

当然のことであるが、自動運転はIoT技術である。

必要な情報をクラウド上から得て、クラウド情報と自車が収集した情報をもとに動作する必要がある。

なので、どの機能を自動車に残してどの機能をクラウドに搭載するかが自由に切り替えることが必要となる。

このような設計を実現するためには、モジュール化の技術であるAutosarが重要な要素を持ってくる。

Autosarに関しても、ドイツが進んでいることは、VWのモジュール化技術を見ても疑い等が無い状況である。

クラウドサービスに関しては、Google・Apple・Amazonなどを有する米国が圧倒的に進んでる状況である。

ドイツとしては、HEREに米国のクラウドサービスを取り込んで、自動運転の技術を確立していきたい所存であると思われる。

今後、セキュリティの問題に関しても、HEREを中心に議論されることになるとDaimlerのCEOは述べており、少なくとも自動運転の技術の中心を占める組織の一つになることは間違いないと思われる。

中野技術士事務所

BoschはHEREへの出資を検討中

Bosch(ボッシュ)はHEREへの出資を検討中であると明らかにした。TomTomとの提携を進めているBoschであったが、HEREとの提携も交渉中であることが分かった。自動運転の標準化でHEREを中心とする核が構築されつつある。  <2016年4月11日Automotive News Europe

記事の概要

Boschは、HEREへの加盟を検討中であることを明らかにした。

ただし、現在は交渉中であり、出資して加盟することを決定したわけではないとしている。

Boschは、7月に自動運転のための高精度マップに関してTomTomと提携をしており、これとの関係性は明らかでない。

現在、明らかになっているところでは、AmazonやMicrosoftとHEREは交渉中であるとしている。

考察

クラウド上の高精度マップを構築することは、自動運転においては必須の条件である。

クラウド上のマップは時々刻々と変化していくので、それに合わせた情報収集と情報発信ができないと自動運転は難しいことになる。

Boschは当初はTomTomとの提携を発表していたが、今回はHEREとの提携を検討していることになる。

Boschの立場から考えると、別に地図のデータがどこにあるかが重要ではなく、HEREとの提携は地図フォーマットや通信の標準プロトコルにおいてHEREとコンパチブルにするために必要となっていると推定される。

つまるところ、標準になるかもしれない技術を用いることができるためには、HEREへの出資が必要と考えていると思われる。

HEREが標準となった場合には、どれほど優れた自動運転システムであろうとも、世界的に販売することが不可能となり、普及は難しいこととなる。

通信のプロトコルによってクラウドと自動車間での機能分担がある程度決まってしまうので、自動運転用のクラウドサーバーシステムから通信システム及び自動車側の制御システムまで大枠が決定してしまうことになる。

つまり、TomTomの地図がHEREよりも優れているかなどという問題では無く、規格の問題なのである。

状況を見る限り、HEREは自動運転の規格として、少なくとも一角は占める存在といえる。

中野技術士事務所