事務所ブログ

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記事をベースに、技術的および倫理的(主に安全面)に関して記載しております。

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神戸製鋼がカナダで損害賠償を求められる

神戸製鋼がアルミ・銅製部材の品質データ改ざんに関してカナダの消費者から訴訟を起こされた。原告は、神戸製鋼が要求仕様通りの鋼材を納入しなかったために、自らが支払った対価に購入した自動車の品質が見合わないとして損害賠償を求めている。このような事態に至ったのも、日本の産業における過剰品質の問題があると思われる。『適正な要求仕様と適正な価格』を自動車メーカーと納入業者の間に構築することが重要である。<日本経済新聞

記事の概要

神戸製鋼がアルミ・銅製部材の品質データ改ざんに関してカナダの消費者から訴訟を起こされた。

訴訟に関して記事が伝えているところでは、

原告:

カナダの消費者4名

被告:

神戸製鋼
神鋼メタルプロダクツ
コベルコマテリアル銅管
他で計6社

請求の趣旨:

神戸製鋼グループが仕様に満たない金属製品を製造
⇒自動車メーカーが製品を製造
⇒原告が自動車を購入

要求仕様を満たさない鋼材を用いた自動車を購入することになり、不当に高い対価を支払わされた。

今後の動向:

集団訴訟に向けて原告側は準備中

となっている。

この件に関して、神戸製鋼は正式な訴状は届いていないとしている。

考察

このような裁判は起きるであろうと思っていた。

原告は、安全性に関して問題が無いことを確認したうえで、不当に高い対価を払ったとして裁判に訴えている。

安全性の問題ではないので、賠償請求が認められたとしても、べらぼうに高い金額になる可能性は低いと思われる。

ただし、仕様を満たさないのを神戸製鋼は知ったうえで自動車メーカーに納品していたことになるので、そこに悪意があるとしたうえで、高い金額を請求してくる可能性は残されている。

そこには、『消費者は自動車メーカーの要求仕様を知らないから、そのような請求はできない。』というような論理は通用しない。

消費者は、自動車メーカーの設計及び製造を信用して自動車を購入しており、自動車メーカーの設計仕様に満たなかった製品をつかまされたことで損失を受けているのである。

安全を満たすということは最低条件であり、それ以上の強度を持つことにより自動車の対価に相当する価値が生まれてくる。

今回の品質詐称は、その対価に相当する価値になっていないものに対価を支払うことを発生させたのである。

前にも書いたように、安全が最低条件であり、それ以上の品質は価値に相当する。

つまり、高品質のものは高価であるということである。

なので、安全が守られたから消費者に不都合を与えていないのではなく、品質を落とした結果として消費者が手にするべき価値を手に入れられなかったという不都合を与えているのである。

ただし、仕様との差が小さいので裁判として高額な請求が成り立つかについては疑問の余地がある。

しかしながら、現実を見ると、自動車メーカーが要求仕様に見合った金額で鋼材を購入しているかには疑問がある。

当然のこととして、自動車メーカー側は、より良い品質の鋼材をより安く購入するのが原価低減のための原則であり、安いところから鋼材を購入することになる。

そうなると、原材料メーカーは競争となり、歩留まりが悪くなり儲けが減るのを承知で安い金額を提示することになる。

結果として、原材料メーカーは見かけの歩留まりを向上するため、要求仕様を満たさない原材料であっても自動車メーカーに納入しなくてはならなくなる。

これでは、原材料メーカーにとっても自動車メーカーにとっても悪い影響が出てきてしまうのである。

現状で、日本の製品の品質を維持しているのがこのような過剰品質にあるといえなくもないが、新興国が台頭してきている現状を考えると、適正な要求仕様を出して適正な価格で原材料を取引する必要性が出てきていると思われる。

今回は神戸製鋼が訴えられているが、もしも自動車メーカー側が要求仕様に満たないことを知りながらごまかしていたということになると、自動車メーカーに対しての訴訟も起こりえる話である。

『適正な要求仕様と適正な価格』を実現しないと、日本の産業が衰退する可能性が出てきていると思われる。

中野技術士事務所

EUに自動車認証に対してのチェック権限が与えられる

EUの自動車認証制度が変更されることになりそうである。大きな変更点は、EUが各国の認証機関を監査することと、EUが反則金を徴収できることである。この改正の主眼は、『EU加盟国の一国が与えた認証を他の加盟国が取り消すことを実現する。』と『排気ガス規制の抜け道を用いて窒素酸化物を規制値の十数倍出している状況をただす。』である。<Automotive News Europe

記事の概要

欧州連合は新しい自動車認証方法に関しての規則が成立することになる。

新しい規則では、

EUが欧州全体へのリコールを開始できる。

規則違反があった場合は最大3万ユーロ/台の反則金をかせる。

法案は、EUが各国の規制当局の監査を行うのを許可する。
各国の認証機関は、車両タイプの認証と最小限の路上での排出ガス試験を実施する。

Defeat Deviceへの対応として、自動車メーカーに自動車のソフトウェアプロトコルへのアクセスを提供することを要求する。

となっている。

なお、ドイツとイタリアはこの規則に反対票を投じている。

EU本部のElzbieta Bienkowska委員長は、

実際のEU監督と執行権限を含む、我々の提案の重要な要素が支持された。

一部の自動車メーカーは不正行為を行っており、他の多くの企業は抜け道を利用していたことを知っている。

欧州各国の監督を強化することは、存在するかもしれない利益相反を排除する助けとなるはずだ。

と述べている。

この規制は、欧州議会や加盟国から法律化するための承認が必要です。

その後2020年9月1日に義務化される予定です。

考察

2015年から話し合われてきたEUの認証システムの変更にけりが付きそうである。

今回の改正の主眼は、

EU加盟国の一国が与えた認証を他の加盟国が取り消すことを実現する。
(現状では、国の一国が認証すればEU全体に適用される。)

排気ガス規制の抜け道を用いて窒素酸化物を規制値の十数倍出している状況をただす。

である。

この二点において、初期の草案よりも多少後退した感はあるが、現状の認証よりもEUの権限が大幅に強くなっているといえる。

この問題に対して、当初は自動車生産国の多くが反対の意を表していたが、最終的にドイツとイタリアのみの反対までに調整を実施して、実現にこぎつけた感じである。

フォルクスワーゲンの排気ガス不正時にリコール命令を出せるのがドイツのKBAのみであったことに、他国(特にフランス)は不満を持っていた。

改正後は、このような問題が発生した場合に、EUが監査できるうえに反則金も徴収できるようになる。

ただし、ディーゼルエンジンで一世を風靡していたドイツとイタリアは、EUに権限が集中することに反対の意を表している。

これが、Elzbieta Bienkowska委員長の言う『利益相反』である。

自国の自動車産業を保護するために、公正であるべき認証機関が自国の自動車メーカーに甘くなることを『利益相反』と呼んでいるのである。

はっきりは言っていないが、ドイツとイタリアが規制に反対したことに対して『利益相反があるかもしてない』と暗に非難しているのである。

当初は2017年のスタートを目指していたものであるが、自国の自動車産業の継続や雇用の問題も関連してくるので、各国の調整に時間がかかって遅れてしまっている。

ただし、これは欧州だけの問題ではなく、UN ECEでの規格統合を考えている日本にとっても影響が出てくる問題である。

中野技術士事務所

ロンドンで電気自動車タクシーが数週間以内に営業開始

ロンドンのタクシーとして有名なブラックキャブが電気自動車(レンジエクステンダー)への入れ替えが数週間以内に開始される。これは、ロンドン電気自動車が製造したもので、ボルボ製1.5リッターガソリンエンジンを発電用として搭載している。双方とも吉利汽車の子会社であり、吉利汽車は将来の自動運転社会に必要な技術を着実に構築しているといえる。<Automotive News Europe

記事の概要

ロンドンのタクシーとして有名なブラックキャブが電気自動車(レンジエクステンダー)への入れ替えが数週間以内に開始される。

新しいブラックキャブの概要は、

走行距離は640km

登場人数は6人

レンジエクステンダーのためのエンジンはボルボ製1.5リッターガソリンエンジン

Wi-FiおよびUSB充電搭載

サンルーフを搭載

である。

ロンドン電気自動車(the London Electric Vehicle Company)のCEOであるChris Gubbey氏はロイターに対して、

ロンドンの黒いタクシーであることがはっきりと分かるが、すべてが新しい車両である。

アルミニウムのボディーとレンジエクステンダーEVであるだけでなく、クリーンな空気をロンドンに提供します。

タクシーは常時電動で走行し、エンジンは電力供給のみに用います。

新しいこの車両は約£55,000であるが、年間の燃料費を£100節約します。

と語っている。

ロンドン電気自動車は、アムステルダムでも高齢者や障害者向けの輸送サービスの一環として、225台の車両を導入する予定である。

ロンドン電気自動車は、吉利汽車(Geely Automobile)の子会社である。

また、ボルボも吉利汽車の子会社である。

考察

ロンドンのタクシーの電気自動車化がまじかである。

同様にアムステルダムでも電気自動車によるサービスが始まる。

吉利汽車の戦略は現状の潮流に見事に乗っているといえる。

欧州の企業が怖がるはずである。

ボルボでUberに自動運転車両を供給するとともに、電気自動車によるタクシーを展開して、将来の自動運転社会を構築する基盤を抑えている。

日本のメーカーが自前で技術構築しようとしている中で、吉利汽車は技術を導入して先に進もうとしている。

ちょうど、GoogleやAppleが工場を持たずに製品を開発する手法を行っているが、それに似た手法を自動車分野で展開しているといえる。

このままでいると、日本のメーカーはすぐに追い向かれることになるであろう。

自動車の開発生産も、自動運転技術の進歩とともに、従来の製造してユーザーに販売するという形を維持することが難しくなっている。

GMやフォードは、自動車販売の他に、サービスに今から力を入れる方向に進んでおり、それは欧州のメーカーも同じである。

このような変革期に、自動車メーカーは対応できるように自らを変革させていく必要が出ている。

中野技術士事務所

フォルクスワーゲン(VW)の移動サービス会社モイア(Moia)は電気自動車によるサービスを開始予定

フォルクスワーゲン(VW)の移動サービス会社モイア(Moia)は、ハンブルグからライドプーリングサービスを開始する。コミュニティバスとタクシーの間のような乗り物である。これは人が運転するものであるので利益は出ないものであるが、将来の自動運転に向けてシステムを熟成するうえで重要なものである。自動運転化された場合には大きな利益が見込めるものである。<Automotive News Europe

記事の概要

フォルクスワーゲン(VW)の移動サービス会社モイア(Moia)は、ハンブルグからライドプーリングサービスを開始する。

ライドプーリングサービスとは、

顧客がアプリを通じて予約(車両と費用を予約前に表示)

⇒プーリングアルゴリズムが、自動車の乗車人数を最大にしてう回路を最小にするように、乗客をグループ化

⇒プーリングアルゴリズムに沿って乗客をピックアップして目的地に送迎

とされている。

今回のサービスは、

6人乗りの電気自動車ミニバスを用いる。
航続距離:300km
充電時間:30分(80%の容量)

ハンブルグでは200台の車両からサービスを開始する。
⇒数年後に1,000台まで拡大予定である。

モイアが運転を行う場合のみでなく、サービス運営者や地方自治体に対してもサービスを提供する。

2025年までにヨーロッパと米国の都市で100万台の車でサービスを実施する計画である。

としている。

発表に際して、モイアのCEOであるOle Harms氏は、

渋滞、大気汚染、騒音、宇宙の不足などの交通問題の解決策を提示したい。

プール新しい考え方ではありませんが、プールの効率と顧客の快適な移動を両立させたい。

モイアは世界で3つの最大のモビリティプロバイダーの1つであり、数年後には数億ユーロの収益を上げることを目指している。

と語っている。

考察

この車両は自動運転車両ではない。

当然のこととして運転手が乗車した車両である。

ただし、将来的に自動運転になることが前提のシステムである。

そうでないと、人件費で利益が出ないことになる。

モイアは現状でライドプーリングサービスを根付かせて、自動運転車両の投入時にスムーズに移行できるようにシステムを熟成させるつもりなのである。

また、車両も考えられており、一回走ってきたら30分の充電で、もう一度回ってこられるようにしている。

これも、将来の自動運転ミニバスの運用を考えているものと思われる。

ちょうど、コミュニティバスとタクシーの間のような乗り物である。

欧州では都市部での自動車流入を抑える方向で検討が進められており、都市部での移動手段としてこの方法は有益であると思われる。

現状では人件費で赤であったとしても、自動運転が実現した場合には大きな利益を上げる可能性があると思われる。

中野技術士事務所

FCAはヒュンダイとの技術提携について交渉中

フィアット・クライスラー・オートモービルズはヒュンダイ自動車との技術提携に関して話し合っていることを明らかにした。この話し合いには合弁事業は含まれていないとされている。電気自動車が欲しいFCAとしては、最適のパートナーとなりえる提携である。<Automotive News Europe

記事の概要

フィアット・クライスラー・オートモービルズ(Fiat Chrysler Automobiles:FCA)はヒュンダイ(現代)自動車との技術提携に関して話し合っていることを明らかにした。

FCAのCEOであるSergio Marchionne氏は、

ヒュンダイ自動車と技術提携について話し合っているが、両者の合併協議はないし、合弁につながるものであるとは考えていない。

ヒュンダイからの部品はすでに購入しているが、他の点、特に変速機や水素の開発に興味を持っている。

と語っている。

記事では、Sergio Marchionne氏が合弁先として、長城汽車やヒュンダイ自動車に関心を持っていると報じられてきたことを伝えている。

また、分社化についても話しており、

分社化完了:

Magneti Marell:ライティング、エンジン、エレクトロニクス、サスペンション、排気ガスの部品を製造

Comau:工知能やロボット工学

来年中に分社化予定:

CNH Industrial:産業機械や商用車の製造・販売

フェラーリ:高級スポーツカーメーカー

分社化未定:

Alfa Romeo

としている。

また、ディーゼル排出ガスに対する罰金については、最近のフランス当局の主張に法的根拠はないと語っている。

考察

FCAとヒュンダイが技術協力を行うことはFCA側にとって重要なことである。

新技術に予算が取れないFCAにとって、電気自動車や燃料電池車両の技術を導入できることは利益になる。

フォルクスワーゲンの排気ガス不正以降言われていたことであるが、ディーゼルと電気自動車の両方に開発費を分配できない中小自動車メーカーにとって、他社が開発した技術を導入できることは大変助かることである。

電気自動車に向かって進んでいる現状を考えれば、技術提携相手としてヒュンダイの重要性は高いといえる。

また、ヒュンダイを経由して韓国の自動車部品メーカーからの調達も進むこととなり、FCAが問題としていた部品調達のコスト低減に役立つといえる。

ヒュンダイにとっても、開発費をかけた電気自動車や燃料電池車両の技術を他社に提供することにより、開発費の回収が図られることになる。

ある意味で、適した組み合わせであるといえる。

また、Sergio Marchionne氏は最近のフランス政府のディーゼル排気ガス問題に関しての対応に不服があるようである。

この根底には、FCAは決められたルールを守っていたのに、ルールを変更して訴えるのは不当であるとの考え方があるのであろう。

実際に、当時のルールにFCAの車両は適合しており、ルール違反にはなっていない。

問題は、ルールに規定されていない領域で、意図的に排出していたのか否かである。

これは倫理的な問題となる。

意図的に排出していたのであれば倫理的に問題が発生する。

最終的には、ある程度のところで落ち着くことなると思われる。

中野技術士事務所